生活習慣病とも関連? 骨粗鬆症
ブログ2019.07.03
こんにちは。理事の下村薫です。日差しの強い日が多くなってきましたね。
さて、皆さん今年の健診はもう受けられましたか。
健診では高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を指摘される方が多いかと思います。
近年、それら生活習慣病との関連が注目されている病気があります。骨粗鬆症(骨粗しょう症)です。今日は骨粗鬆症についてお話ししたいと思います。
骨粗鬆症の症状と検査
皆さんは骨粗鬆症というとどのようなイメージがあるでしょうか。
ちょっとつまずいたら骨折してしまった。
腰が痛くて背中の曲がったおばあちゃんの病気。
そんなイメージがあるかもしれません。
しかし、実際のところ、骨粗鬆症はあまり目立った症状はありません。
骨粗鬆症は、背中が曲がってきた、背中や腰が痛いなど、高齢になれば多くの人が感じる症状がみられます。少しずつ進行していく事もあって、なかなか自覚がしにくい病気です。
そんな骨粗鬆症の検査は、まず大腿や背中の骨に骨折がないかをレントゲンで確認します。
次に、骨密度を測定し、治療が必要と判断された場合薬物療法を始めます。ステロイドなどのお薬を飲んでいる方はまた別のアプローチとなりますので、ご相談ください。
女性も男性も注意! 骨粗鬆症の原因とは?
骨はいつも同じ形をしているように見えます。
しかし内部では常に新陳代謝を繰り返し、骨を作る骨芽細胞と、古くなった骨を壊す破骨細胞が絶妙なバランスを保っています。
そのバランスが保たれることで、骨密度や骨質を維持し、丈夫な骨を形作っています。
しかし、女性は閉経すると女性ホルモンの影響で破骨細胞の働きが活発になり、骨を壊す方にバランスが傾きがちです。
それが原因で、骨粗鬆症は閉経後の女性に多く見られます。
ただ、男性も油断はできません。
男性は体格が女性より大きいため、転倒して一度骨折してしまうと、生活への影響が女性より大きい傾向があります。女性・男性ともに、骨粗鬆症には注意が必要です。
また、生活習慣病がある人に関しては、より注意する必要がありそうです。
生活習慣病があると骨密度が低下し、骨質も悪くなるため、生活習慣病でない人に比べて骨折の可能性が高くなる傾向にあります。
糖尿病の場合は特に骨折の危険性が高まります。
生活習慣病に気を付けるとともに、骨粗鬆症予防にも気を配ることが大切です。
骨粗鬆症の治療薬と食事
次に、治療薬ですが、最初に投与するべき治療薬は骨を壊す働きを抑える「ビスホスホネート製剤」です。
内服するタイプの他に月1回、年1回投与するタイプのお薬もあります。ものを飲み込むことが困難な方や、認知症の方も使いやすい薬です。
副作用としてあごの骨の壊死などがありますが、頻度は高くありません。治療を始める前に歯科受診し口腔ケアで予防をしましょう。
ビスホスホネート製剤は十分なCaとビタミンDを併用して初めて効果があります。
カルシウムを多く含む食材
ビタミンDを多く含む食材
乳製品や牛乳はもちろん、緑黄色野菜や大豆製品、小魚、海藻類などほかの栄養素も偏らずに摂取できるといいですね。
他にも、ビスホスホネート製剤と同じように、骨の破壊を抑える働きのある「抗RANKLモノクローナル抗体(デノスズマブ)」や「SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)」などがあります。
また骨を作る働きを強くする「副甲状腺ホルモン製剤(テリパラチド)」を使うこともあります。
患者様のお体の調子にあわせて調整しますので、不安のある方は是非一度ご相談ください。
骨を強くするには適度な日光浴も大切
治療薬と食事の章で、ビスホスホネート製剤を内服する際、ビタミンDを一緒に摂ると良いというお話をしました。
ビタミンDを作るためには日差しが必要です。
適度な日光浴は面積としては手や腕や顔だけでよく、30分程度戸外に出るだけで十分です。
夏は直射日光に当たらず、木陰にいるだけでも効果があります。
暑さのなか、脱水や熱中症には注意しましょう。最近、環境省では男性用日傘が推進されていますね。帽子と併せて活用しましょう。
骨粗鬆症の予防・治療のための運動
骨は生涯を通じて骨吸収と骨形成を繰り返し、新陳代謝しています。
つまり、いくつからでも骨の丈夫さは改善が期待できます。
手軽に取り組める予防・治療の運動として、「ロコトレ」がおすすめです。テレビを見ながらなど、気軽に取り組んでください。
片足立ち
左右一分間ずつ一日三回
スクワット
深呼吸するペースで5~6回を1セットとし、一日3セット。
安全のために、椅子やソファの前で行ってください。
骨粗鬆症でお困りの際はご相談ください
今回は骨粗鬆症の診断から女性ホルモンや生活習慣病との関わり、治療、予防法ついてお話ししました。
当院は医師や看護師はもちろん、食事の専門家である管理栄養士、運動の専門家である理学療法士、作業療法士がチームを組んで診療にあたっています。
さらに、ロコモコーディネーターもおります。お困りの際はご相談ください。