糖尿病の治療法 ~お薬を使った治療~
ブログ2021.11.19
こんにちは!理事の下村薫です。
前記事「糖尿病の治療法 ~食事・運動療法~」に引き続き、今回も糖尿病の治療についてお伝えいたします。 糖尿病の治療は、患者さまひとりひとりの状態を見ながら主治医が目標を設定し、食事療法や運動療法、薬を使った治療などを行っていきますが、今回は「お薬を使った治療」についてご紹介していきます。
血糖コントロールの目標値や食事・運動療法については前記事でご紹介しておりますので、そちらも是非ご覧ください。
糖尿病の薬を使った治療は大きく分けて二種類
糖尿病治療は、(1)食事・運動療法と(2)内服やインスリン注射を使ったお薬による治療の2本柱です。
食事・運動療法を2~3ヵ月続けても血糖コントロールがうまくいかない場合には、お薬を使った治療を開始します。
お薬を使った治療は、大きく分けて「内服薬」を使う治療と「インスリンという注射」による治療の二種類があり、それぞれ患者さまの病状などにあったお薬を使っていきます。
糖尿病の内服薬での治療
糖尿病の状態や、原因にあわせ、患者さまにあった内服薬を処方していきます。1剤から始めてだんだんと増やしていくのが一般的です。
内服薬はいくつか種類があり、血糖値を下げるインスリンへの作用と、血糖値そのものへの作用の違いによって分類されています。
なかでもSGLT2阻害薬やビグアナイド類、インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬)といったお薬が使われることが多いです。
名称 | 作用 |
---|---|
SGLT2阻害薬 | 腎臓に作用して糖の再吸収を抑えます。 |
ビグアナイド類 | 肝臓からの糖放出抑制、末梢での糖取り込みの促進、消化管からの糖吸収抑制により血糖を低下させます。 |
インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬) | 小腸に存在するインクレチンホルモンがインスリンの分泌の促進し、血糖を上昇させるグルカゴンの分泌を抑制します。 |
他にもインスリンの分泌を促すSU薬、食後血糖値を抑制するα-GIといったお薬が使われます。
インスリン注射での治療
インスリンは、血糖を下げ、一定に保つ働きをしているホルモンですが、糖尿病の方はこのインスリンが効きづらくなっていたり、分泌されなくなっていたりすることがあります。
その場合、インスリン注射で外部からインスリンを補い、血糖値を下げるという治療を行います。
自分で注射すると聞くと驚かれる方も多いですが、インスリンは用法・容量を守って正しく使えば、決して怖いお薬ではありません。もちろん、注射の仕方などもサポートしていきますので、ご安心ください。
インスリンの種類によって、血糖値を下げる効果が現れるまでの時間や、効果の持続時間が違うため、食事や注射のタイミングが変わってきます。
例えば、早く効果が現れ、すぐに体内から排泄されるインスリンは食直前に注射。ゆっくり効果が現われ、体内に長くとどまるインスリンは夜に注射するなど、患者さまの状態や生活習慣によって、どの種類のインスリンを使うか決めていきます。
自分の血糖値を簡単に測ることができる機器や、週一回注射するインスリンもありますので、ご自身の生活リズムに合わせたお薬を都度、相談していきましょう。
内服薬・インスリン注射について不安なことがあれば遠慮なくご相談ください。
糖尿病の治療についてお気軽にご相談ください。
今回は糖尿病の具体的な治療、特にお薬を使った治療について、ご紹介しました。
糖尿病は高血圧症や高脂血症と同様に聞き慣れた病気でありながら、詳しく知る機会はなかなかないかもしれません。健診の結果が返ってくる今の季節。ご自身の体調を振り返ってみるのはいかがでしょうか。
当法人は生活習慣病の健診をはじめ、管理栄養士の栄養指導とも連携をとり、患者さまそれぞれのお体に合った治療を提供していきます。
また、ご家族や介護者の見守りが必要な方へも、外来、病棟から在宅、サービス高齢者住宅まで途切れることのない医療介護を提供いたします。 糖尿病治療について不安な点がございましたら、遠慮なくご相談ください。