【リハビリ講座#2】脊椎圧迫骨折後のリハビリ
ブログ2023.04.28
こんにちは。東京都あきる野市にある「草花クリニック」の訪問リハビリテーション課です。
前回の「【リハビリ講座#1】姿勢改善ストレッチ」に引き続き、リハビリに関する情報をシリーズでお届けするリハビリ講座の第2回目は「脊椎圧迫骨折後のリハビリ」です。
「高齢者に多い骨折~転倒防止で予防~」でも症状や治療についてご紹介している、背骨の骨折「脊椎圧迫骨折」。
一か所骨折すると続けての骨折や、周囲の骨・筋肉の痛みを引き起こすこともあり、場合によっては寝たきりに繋がってしまうことも。
個人の身体の状況にあわせて、適切な治療やリハビリを行っていきましょう。
脊椎圧迫骨折の影響とリハビリの重要性
脊椎は、体を支える役割や、上半身を動かす役割なども担っています。
本来は頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎・尾椎が連なって形成されていますが、その中の1つの脊椎が骨折してしまうと、支える力や動かす力などが減少してしまうため、以下のような問題が引き起こされます。
脊椎圧迫骨折によって起こる問題
- 姿勢が悪くなり、バランス能力や全身的な運動能力が低下する。
- 周りの脊椎や靭帯、筋肉などに負担が分散され、過剰な働きを強いることによって、周囲の骨や筋肉などの痛みを引き起こす。
- さらなる関節の変形などを引き起こす。
ご高齢の方がなりやすい脊椎圧迫骨折では保存療法を選択されることも多く、骨折した形のまま癒合される事も少なくありません。
転倒リスクの増加や活動性の低下などの二次的・三次的な影響が起こることも考えられるため、骨折後の生活をより安心に、質の高いものにするためには、適切なリハビリが重要となります。
適切なリハビリって?
脊椎圧迫骨折後のリハビリは、身体の状態によって大きく2種類に分かれます。
主治医やリハビリスタッフの判断のもと、身体の状態を確認しながら詳細なリハビリメニューを決めていきますので、お気軽にご相談ください。
1.受傷してから癒合するまでのリハビリ
骨折してから癒合するまでは、骨折した部分が変形しやすい状態です。
骨折した部分へさらに圧力をかけて悪化させないよう、コルセットを装着して過度に力がかかるのを防ぎます。
また、痛みを引き起こしにくい動作や、症状を悪化させるリスクのある注意が必要な動作を学び、骨折した部分へ負担をかけない姿勢で上肢・下肢の筋力低下を予防していきます。
2.癒合した後のリハビリ
骨折した椎体の周囲の筋力を上げることで、脊椎を中心とした体幹を支える力を高めていきます。
これにより、以下のような効果が期待できます。
- 姿勢の悪化予防・改善をする。
- 周囲の脊椎・靭帯・筋肉の痛みを予防・軽減する。
- 全身的な運動能力の低下を予防・改善する。
その他にも身体の状況に合わせた自宅の環境設定や、その中での動作練習、杖を使用するなどの選択も、リハビリの中で行っていきます。
癒合した後のリハビリ運動内容例
今回は「癒合した後のリハビリ」での実際の運動内容を一部紹介いたします。
運動の種類や方法、強度などは個人の身体状況や痛みの状況などによって変わります。
合わない運動を無理に行うと骨折部位へ過剰に負担をかけてしまったり、痛みの症状が悪化してしまったりするケースもあるため、主治医やリハビリスタッフなどに相談してから行うようにしてください。
腹式呼吸
腹式呼吸の方法
- 鼻から息を吸いお腹を膨らませましょう(3秒間)。
- 口から息を吐きお腹に力を入れましょう(6秒間)。
<ポイント>
- 息を吐く時に背中が丸くならないように注意しましょう。
- 手をお腹にあてて、お腹の少し深い位置で筋肉が収縮するのを指先で感じるようにするのがポイントです。
お尻上げ運動
お尻上げ運動の方法
- 仰向けになり、両膝を曲げます。
- ゆっくりとおしりを持ち上げましょう。
- おしりを下ろす時も、ゆっくりと下ろしましょう。
<ポイント>
- かかとは膝よりも少し遠い位置につくのがポイントです。
イスを使用したスクワット
イスを使用したスクワットの方法
- イスに浅く腰かけてください。
- 腰を曲げず、股関節を曲げるように意識し、身体を前に傾けます。
- 反動をつけずに立ち上がりましょう。
その後、お辞儀をしながらゆっくりと座ります。
<ポイント>
- 膝がつま先よりも前に出ないよう注意して行いましょう。
- 座る際も腰が過度に反ったり、曲がったりしないように注意しましょう。
四つ這いでの下肢伸展運動
四つ這いでの下肢伸展運動の方法
- 四つ這いの姿勢をとります。
- 片足を後方に挙げ、その姿勢を保持します。
<ポイント>
- 腰が曲がらないように注意して行いましょう。
- 伸ばした方の膝が曲がらないようにしましょう。
先述した通り、骨折後のリハビリは通常時の運動とは異なり、癒合の状態や個人の身体状況などによって、内容や方法、強度などを設定していく必要があります。
「良い運動」とされるものでも、時期や強度を間違えると骨折部位に無理な負担をかけてしまい、痛みを引き出してしまう場合があります。
運動内容は主治医やリハビリスタッフまで必ずご相談ください。
専門的な視点からリハビリ内容をご提案いたします。
リハビリテーションで自立した生活へ
東京都あきる野市にある草花クリニックの訪問リハビリテーション課では、ご自宅にリハビリテーション専門職(体の動き、歩行、生活動作分析の専門職)である理学療法士・作業療法士が伺い、専門的な視点から「自立した生活」を送れるよう支援いたします。
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訪問リハビリテーション課