在宅診療 ~医療と介護を両輪に~ 前編
ブログ2023.06.07
こんにちは!理事の下村薫です。
雨の日が多くなり、紫陽花が見頃を迎えております。色鮮やかで気持ちが和みますね。
今回から2回にわたり、当法人が力を入れている在宅診療についてご紹介したいと思います。
まずは在宅診療で実現する「自分らしく過ごす選択」についてご紹介いたします。
ご本人・ご家族の選択を尊重する「地域包括ケアシステム」
日本は超高齢社会となり、2025年には団塊の世代が75歳を迎えます。
国民の医療や介護の需要が増加する2025年を目途に、厚生労働省では「地域包括ケアシステム」の確立を目指しています。
この「地域包括ケアシステム」とは、年齢を重ねても病気になっても、住み慣れた地域で自分らしい生活ができるよう、医療・介護・住まい・介護予防・生活支援の5分野のサービスを充実させ、一体的に提供する体制のことです。
地域包括ケアシステムを「植木鉢」に例えて具体的にご紹介いたします。
地域包括ケアシステムの考え方では、まず植木鉢の皿であるご本人の選択とご本人・ご家族の心構えが尊重されます。
次に、ご本人が主体的に住まいと住まい方(鉢)を選びます。
介護予防や生活支援はご本人を下支えする土となり、(1)「医療・看護」(2)「介護・リハビリテーション」(3)「保健・福祉」の3枚の葉を育てます。
例えば、ご高齢の方が住み慣れた土地で「一人暮らしを続けたい」と思っている場合、これまでならご家族が遠方にいるなどの理由から、あきらめて病院や施設に入っていたかもしれません。
しかし、ご家族のサポートだけでなく地域の専門職サービスを活用すれば、ご本人の選択を実現しやすい環境づくりができます。
「介護を家族だけで抱え込まない地域共生社会」それが、地域包括ケアシステムの目指す姿です。
当法人では主に地域包括ケアシステムの「葉」となる医療や介護などの専門職サービスを提供することで、あきる野市の地域包括ケアシステムの一端を担っております。
「自分らしく過ごす」選択を実現する在宅診療
地域包括ケアシステムでは「ご本人の選択とご本人・ご家族の心構え」が尊重されているとご紹介いたしました。
実際にどのような選択を希望されている方が多いのか、2019年に厚労省が行った人生の最終段階における医療に関する意識調査を見ていきましょう。
「人生の最終段階において、医療・療養を受けたい場所」という質問では、①末期がんの場合は自宅(47.4%)、②重度の心臓病の場合は医療機関(48.0%)、③認知症の場合は介護施設(51.0%)と状況ごとに意見が分かれるものの、「人生の最終段階における、最期を迎えたい場所」では末期がん、重度の心臓病、認知症、いずれの場合も自宅が多く、60%以上を占めました。
さらに「どこで最後を迎えたいかを考える際に、重要だと思うことはなんですか」という質問では、
- 家族等の負担にならないこと
- 体と心の苦痛なく過ごせること
- 自分らしくいられること
という回答が多く、ご高齢者がご家族に負担をかけず、自分らしく過ごしたいという想いが見えます。
「家族への負担はかけたくないけれど、最期まで自宅で、自分らしく過ごしたい」
そんな希望を実現するお手伝いをするのが、当院が力を入れている在宅診療です。
草花クリニックの在宅診療
草花クリニックの在宅診療では、通院が難しい患者さまや、ご自宅での療養を希望されている患者さまなど、ご自宅などに訪問して健康管理のサポートを行っています。
また居宅介護支援などの介護事業も行っており、医療と介護の連携したサービスをご提供いたしております。
ご自宅での療養をご希望の場合は、お気軽にご相談ください。地域のかかりつけ医として、ご利用者さまはもちろん、ご家族さまにも寄り添い、「すべての人に笑顔を」の実現を目指して努めてまいります。
今回は、「自分らしく過ごす」というご本人の選択を実現する在宅診療についてご紹介いたしました。
次回も引き続き在宅診療について、詳しくご紹介いたします。
新型コロナウイルス感染症が感染症法5類に移行しました。
とはいえ、新型コロナウイルス感染症がなくなったわけではありません。以前の生活を取り戻していく中でも、適切な感染対策を続けましょう。