メタボリックシンドロームとは?~診断基準編~
ブログ2023.12.22
こんにちは!理事の下村薫です。
皆さん、今年も健康診断は受けましたか?検査結果は、年に一度の体の通信簿です。健康を保つためにも、是非受けてみてくださいね。
今回は健康診断で指摘されることが多い「メタボリックシンドローム」、通称「メタボ」についてお話しようと思います。
近年、デスクワークや不規則な生活などで運動不足の方が増える一方、手軽に栄養価の高い食事を摂れるようになったことから、メタボリックシンドロームの疑いがある方は増加していると言われています。
「メタボ」という言葉は2006年に日本新語・流行語大賞トップ10入りしたこともあり、ご存知の方も多いと思いますが、「腹囲が大きい=メタボ=体に悪い」と誤解され、軽視されがちな病気でもあります。
実はこのメタボリックシンドローム、意外と恐ろしい病気なのです。詳しく見ていきましょう。
メタボリックシンドロームとは?
そもそもメタボリックシンドロームとはどのような状態なのでしょうか。
健康診断結果での診断基準は、男性の場合腹囲85cm以上、女性の場合腹囲90cm以上で、血圧・血糖値・血清脂肪のうち2項目以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
※元々高血圧や糖尿病や脂質異常症について薬物療法を受けている場合は、現在が正常範囲内でもそれぞれ1項目に数えます。
基準を見るとわかるように、メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積によって脂質代謝異常、高血糖、高血圧など様々な代謝性疾患が組み合わさっている状態です。
症状が同時に現れることで動脈硬化が進みやすくなり、命に関わる病気のリスクが高まります。その恐ろしさから、4つの症状が組み合わさった状態は「死の四重奏」と呼ばれていたこともあったほどです。
それぞれが軽度であっても、組み合わされることで悪影響を及ぼしあう危険な状態になりますので、健康診断での早めの発見と、生活習慣の改善を行うことが重要です。
メタボリックシンドロームでリスク30倍!?
前述の通り、メタボリックシンドロームの診断基準となる肥満、脂質代謝異常、高血糖、高血圧は、動脈硬化の危険因子という共通点があります。
症状がない場合と比べ、症状が1つ、2つと増えていくと冠動脈疾患の発症リスクは約5倍、約9倍と右肩上がりで高くなります。 メタボリックシンドロームは最低でも3つの症状が組み合わさるため、そのリスクは症状がない場合のなんと約30倍にもなります。命に関わる心筋梗塞や脳卒中の可能性が飛躍的に高まる危険な病気なのです。
それぞれの症状の原因となる生活習慣の改善を行い、危険因子を減らすことでリスクを下げていきましょう。
原因となる生活習慣は人により異なるため、医師の診察を受け、自分にあった改善方法を模索することが効果的です。
メタボリックシンドロームは身近な病気
命にも関わるメタボリックシンドロームですが、実は30歳以上の方には特に気を付けていただきたい、身近な病気でもあります。
20歳以上でメタボリックシンドロームが強く疑われる人
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20~29歳 | 0% | 0% |
30~49歳 | 12.4% | 1.9% |
50~69歳 | 30.1% | 10.3% |
70歳以上 | 37.4% | 16.8% |
<2019年の国民健康・栄養調査の報告>
2019年の国民健康・栄養調査の報告によると、20歳以上でメタボリックシンドロームが強く疑われる方は男性が28.2%、女性が10.3%でした。
この調査では20代にメタボリックシンドロームの可能性が高い方は見られなかったものの、30歳以降、加齢とともにメタボリックシンドロームが疑われる方が増加し、特に男性は50歳以上の3人に1人はメタボリックシンドロームの可能性が高いことが分かります。
動脈硬化は初期症状がほとんどなく、知らないうちに進行してしまうものです。
メタボリックシンドロームの基準を超えてしまった場合には、「症状がないから」と放置せず、できるだけ早急に受診し、改善に取り組んでいきましょう。
メタボリックシンドロームの基準を満たしたら改善を
メタボリックシンドロームの診断基準を満たしていても、自覚症状がないために「今困っていないから」と放置されてしまうケースもあります。
メタボリックシンドロームの改善に不可欠な食事療法や運動療法は日々の努力で効果を発揮するため、受診するのは中々腰が重いという方もいらっしゃることと思いますが、心筋梗塞や脳卒中のリスクは放置することで日々高まっているかもしれません。
日頃からメタボリックシンドロームの改善を行い、治療していきましょう。
草花クリニックでは「健康診断」や「生活習慣病予防健診」を行っており、パニック値と呼ばれる異常値が出た際には早急なご連絡を行っております。
また、メタボリックシンドロームをはじめとした生活習慣病の治療については栄養士による栄養指導などと連携して、患者さま一人ひとりに合わせた治療をサポートしていきます。是非お気軽にご相談ください。
次回も引き続き、メタボリックシンドロームの治療に関する情報をご紹介いたします。
治療の際に誰もが難しいと感じるのが「生活習慣を変える」ことです。
メタボリックシンドロームと診断されたご本人はもちろん、周りの方も巻き込んでより良い健康状態を築くきっかけとなる環境づくりなどについて、ご紹介いたします。