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便秘のトリセツ【解消編】

ブログ2024.09.20

便秘のトリセツ【解消編】

こんにちは!理事の下村薫です。

多くの方が悩まされている「便秘」。
なかなか便が出ず、お腹の張りや腹痛、吐き気などの症状を引き起こす便秘は辛いものですよね。

前回「便秘のトリセツ【診断編】」でも便秘の症状が出た際に懸念される病気についてご紹介していますが、便秘も体からの大切なサインです。
「たかが便秘」と思わず原因究明して便秘解消することが、健康な身体を維持することに繋がります。

今回は引き続き「便秘解消」についてお話していきます。

便秘解消のポイント

便秘解消の治療では「排便しやすい生活習慣」「食事の改善」「腸を刺激して働きを促す」などが大切なポイントとなり、場合によっては「お薬」を使用して排便をサポートしていきます。

まずは便秘の状態を把握するため、どのくらいの頻度で排便できているのか、どんな便だったか記録を付けてみましょう。記録はざっくりで構いません。
便の状態はブリストルスケールを参考に記録することがおすすめです。

ブリストルスケール

カレンダーや記録用アプリなどを活用して記録しておくことで、頻度が分かりやすくなり、診察が必要となった際にもしっかりと自分の状態を伝えることができます。

排便しやすい生活習慣

食後は胃や大腸が働いて便を送り出す「排便反射」が一番生じやすいタイミングです。
最初は時間がかかるかもしれませんが、習慣化することで排便が促されることがありますので、便意がなくても「食後にトイレに座る」ことを継続して試してみましょう。

便座に座りOKサインをする笑顔の女性

また、自立神経の乱れは便秘に繋がりやすいため、睡眠時間をしっかりとるなど生活リズムを整えた生活を習慣化することも大切です。

便秘解消に効果的な食事の改善

もちろん、便秘解消には食事の改善も重要になってきます。

食事量が極端に減っていると便が作られなくなってしまうため、食事は規則正しくきちんととり、食物繊維や水分をたくさんとることを心がけるようにしましょう。
果物、海藻、豆類などは食物繊維が多く含まれるため、腸内環境を整える・腸の運動を高めるなどの効果があり、便秘解消にも効果的と言われています。

パイナップル・レモン・海藻・豆のイラスト

食物繊維の多く含まれる食材の中でも、おからのように便の量を増やす効果が高い「不溶性の食物繊維」は便秘の方が一度に大量にとると便秘を悪化させてしまうこともあるため、摂取量には注意が必要です。
食材の効果や食事のバランスなどについては、オンライン栄養相談も行っております。ご自宅などから空き時間に受けることができるため、是非お気軽にご相談ください。

腸を刺激して働きを促す

腸への刺激は腸の働きを促すことにも繋がります。体を動かして腸に刺激を与えることも、便秘解消には欠かせません。
激しい運動が難しい場合にも、お腹をひねる簡単なストレッチや体操を取り入れてみましょう。寝そべりながらできる運動もありますので、負担が少ない状態で腸を刺激することができます。

マッサージが刺激になる場合もありますので、以下の図を参考に是非お試しください。

「の」の字マッサージ

仰向けで行うマッサージ

お薬を使った便秘解消

病院では原因を解消できるお薬や症状を緩和できるお薬を一人ひとりに合わせて処方していきます。

水分が足りていない「排便回数減少型」の便秘 便を柔らかくする「酸化マグネシウム」などの「緩下剤(かんげざい)」
※腎機能が低下した方は高マグネシウム血症を起こしやすいため、アミティーザ(ルビプロストン)を使用するなど注意が必要です。
腸の機能が落ちている「排便困難型」の便秘 腸の働きを良くする「大腸刺激性下剤」
腹痛を伴う「便秘型過敏性腸症候群」 腹痛を抑えることができる「リンゼス(リナクロチド)」
機能性慢性便秘症 回腸での胆汁酸再吸収を阻害する「グーフィス(エロビキシバット)」
食物繊維の摂取量が少ない場合 食物繊維に近い作用をもたらす「コロネル、ポリフル(ポリカルボフィルカルシウム)」

高齢の方の便秘には、「摘便」や「グリセリン浣腸」などの方法をとることも。

お薬を開始したら1~2か月経過観察して再び薬剤調整を検討していきますが、上記のお薬で便秘解消に繋がらない場合には「刺激性下剤(センノシド、ピコスルファート、ビサコジル)」の使用も検討していきます。

薬の説明をする薬剤師のイラスト

刺激性下剤は刺激を与えて腸を活性化する効果がある反面、習慣性・依存性があり、連日使用すると「下剤を飲まないと便が出にくい」状態を起こしやすいお薬でもあります。
刺激性下剤やその成分が含まれる漢方(大黄甘草湯など)はポイントで効果的に使って排便をサポートしていきましょう。

市販の便秘解消薬は使い方に注意を

最近では「手軽に便秘解消ができる」と、市販の刺激性下剤や、センナ茶などの刺激性下剤の成分が含まれる漢方を常用してしまう患者さんが増えています。

頻繁に使いすぎると大腸の働きが低下しやすくなり、さらなる便秘の原因となってしまうこともあるため、市販薬を使う時は用法用量を守ること、そしてお薬や漢方だけに頼らずに根本的な便秘の原因解消に努めることが大切です。

大腸の働きが低下してしまう

前回の記事でご紹介したように便秘は様々な原因があり、中には病気が原因の便秘や、精神的な面からきている便秘お薬が原因の便秘もあります。

その場合には元となる病気を取り除く、ストレスがかかりすぎないように環境を整える、お薬をやめる(または下剤を併用する)などさらに特異的な処置が必要になってきますので、便秘の原因は個人で判断せず、受診して確かめることがおすすめです。

便秘はなかなか言い出しにくい症状かもしれませんが、重要な症状でもあります。遠慮なく病院へご相談ください。