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脂質異常症<三大生活習慣病>

ブログ2024.10.16

脂質異常症

こんにちは!理事の下村薫です。

健康診断の結果はお手元に届きましたか?
結果で要注意・要観察などの判定があった方も、今回は大丈夫だったという方も、まずは病気をよく知ることから、対策を始めてみるのはいかがでしょうか。

今回は三大生活習慣病である「脂質異常症・高血圧・糖尿病」の中から、「脂質異常症」についてご紹介いたします。

脂質異常症の症状

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことを言います。

基本的に自覚症状はなく、健康診断で血清脂質の異常値を指摘されて発覚するケースが多いです。
しかし、体の中では重篤な状態につながる、恐ろしい症状がじわじわと進行していることも……。

動脈硬化の遷移のイラスト

血液中の脂質が多い状態が続くと、余分なコレステロールが血管の壁に沈着し、動脈硬化を引き起こしやすくなります。すると血流が悪くなり、血栓ができるリスクが高くなってしまうのです。

それまで自覚症状がなかったにもかかわらず、突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの恐ろしい病気につながるケースも少なくありません。

血清総コレステロール値と虚血性心疾患との関連

上記のグラフ「総コレステロール値と虚血性心疾患(動脈硬化などにより血管が狭くなったり、塞がったりして心筋への血流が悪くなり、酸素不足に陥る疾患)死亡との関連」でも、コレステロール値が高い状態では虚血性心疾患の罹患リスクが高いことが分かります。

また、各種臓器への脂質沈着も見られ、黄色腫などの症状があらわれることもあります。
黄色腫は目の上や肘、膝など外見にも黄色っぽく盛り上がったできものとしてあらわれることがありますが、治療には切除縫合や炭酸ガスレーザー治療などが必要となってしまうため、原因となることが多い脂質異常症からしっかりと予防・改善していきましょう。

脂質異常症の診断基準

脂質異常症は、以下のような診断基準に沿って診断されます。

脂質異常症の診断基準

脂質異常症と言われたら…?」でも診断基準について詳しくご紹介しておりますが、下記のいずれかの状態で脂質異常症と診断されます。

  • 「悪玉LDLコレステロール」や「中性脂肪」が 高い(多い)
  • 「善玉HDLコレステロール」が 低い(少ない)

症状についてご説明した通り、血液中の脂質の値が高い状態が続くと動脈硬化を引き起こしやすくなりますので、健康診断で指摘があった場合には、できるだけ早く受診し、改善していきましょう。

脂質異常症の原因と種類

脂質異常症には、遺伝子異常などで発症する「家族性」や、病気・生活習慣によって発症する「二次性」などがあります。
それぞれ原因や治療に使われる薬なども異なるため、脂質異常症が疑われる場合には、まず「家族性」と「二次性」を確認します。

家族性高コレステロール血症

家族性高コレステロール血症

家族性高コレステロール血症は、遺伝性の疾患です。
高度の「高LDLコレステロール血症」となり、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が過剰な状態(≧180mg/dL)になります。

その他にも以下のような症状がみられることが特徴です。

  • コレステロールが沈着することでアキレス腱や手足などの健が肥大する「腱黄色腫
  • アキレス腱が厚くなる「アキレス腱の肥厚
  • 盛り上がりのある黄色の結節(しこり)が生じる「皮膚結節性黄色腫

脂質異常症の家族歴や、若い冠動脈疾患の家族歴も重要な診断材料となるため、確認しながら診断していきます。

二次性コレステロール血症

二次性高コレステロール血症

二次性高コレステロール血症は、クッシング症候群、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、閉塞性黄疸、原発性胆汁性胆管炎などの他の病気や生活習慣などが原因となり、引き起こされる脂質異常です。

二次性高コレステロール血症の場合、原因となっている疾患の治療や生活習慣の改善などをすることで改善が見込めます。

治療の前に「管理目標値」を決める

脂質異常症と診断がついたら、治療のための「管理目標値」を決めます。

まずは、「吹田スコア」と呼ばれる冠動脈疾患発症のリスクを判断できる表を確認します。吹田スコアは一般の方向けのアプリもありますので、是非参考にされてみてください。
その結果に従って下記のフローチャートで管理目標値を決定していきましょう。

管理目標設定のためのフローチャート
脂質管理目標値

脂質異常症の治療

食事療法・運動療法で生活習慣改善

他の病気が原因となっている二次性脂質異常症の場合には基礎疾患に対する治療が優先されますが、基本的に脂質異常症の治療では食事療法・運動療法を中心とし、生活習慣を改善することが重要となります。

一人ひとりに合わせた治療を行い、接種カロリー、脂肪、コレステロール、場合によってはアルコールの制限も行います。
食事療法についてはこちらで詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
コレステロールが高いと言われたら…?

薬物療法

健康診断の脂質の項目

食事や運動療法だけで十分な効果が得られない場合には、薬物療法を行います。

脂質異常症の中でも「高LDLコレステロール血症」にはHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、コレステロール吸収阻害薬、高TG血症にフィブラート、オメガ‐3脂肪酸製剤が使用されますが、スタチンとフィブラートには、脱力感や筋肉痛を認める横紋筋融解症といった副作用があります。
そのため、肝機能が低下している場合には、2剤の併用は横紋筋融解症がさらに発症しやすくなるため注意する必要があります。

家族性の場合には、血液中のLDLコレステロールを肝臓で処理できないか処理する能力が低いため、食事や運動療法だけでの治療が難しく、薬物療法が必要になることが多いです。PCSK9阻害薬を用いながら、LDLコレステロール値のコントロールを行います。

脂質異常症を知って改善しましょう

今回は3大生活習慣病の一つ、「脂質異常症」について取り上げました。病気を正しく知り、正しい対策へとつなげていきましょう。

草花クリニックでは、栄養相談など脂質異常症の改善につながるサポートも行っております。
食事療法や運動療法は一人ひとり現在の生活習慣の改善が不可欠のため、自己判断せず専門スタッフのアドバイスを受けることが効果的な治療につながります
是非お気軽にご相談ください。