在宅医療、訪問診療とは
ブログ2017.08.17
先月、7月8日にあきる野キララホールであきる野市医療福祉地域連携主催の市民講座で講演させていただきました。
多くの市民の人たちの前で「在宅医療、訪問診療とは」についてお話しましたが、総論的な話でしたので、その内容をかいつまんでご案内いたします。
昔と今の往診変化
昔の往診は患者様が具合の悪くなったときに要請に応じて医師が出向くというものでしたが、現在の訪問診療は計画的な医療管理下で定期的に訪問が行われ、医師のみならず介護保険を使用してヘルパーさんなどもチームを組んでひとりの患者様及びご家族を支えていくというものになっています。
訪問診療の対象は?
訪問診療の対象となるのは、下記の方々となります。
- ご自宅で寝たきりの方
- クリニックへの通院が困難な方
- ご自宅での療養を希望される方
- 在宅末期療養を希望される方
- 退院後にご自宅で療養が必要な方
その際、ご自宅での生活を支える6つの視点(食事・排泄・睡眠・移動・清潔・喜び)が重要とも言われており、医師はこういった視点を踏まえ治療を進めていきます。
訪問診療の申し込み方法
訪問診療の申し込み方法は、下記のような方法があります。
- まずは、かかりつけ医に相談する
- ケアマネージャーさんがいる方は、ケアマネージャーさんに相談する
- 入院中の場合は、看護師さんや医療連携室の相談員さんへ相談する
- 市役所へ問い合わせてみる
申請が承認されたら、訪問診療がスタートです。かかりつけの医師がご自宅へ訪問します。
この時医師が訪問するからといって、「部屋を片付けておかなくちゃ。」といったようなお気遣いは不要です。
普段の生活の場に、医師が出向き診察をさせていただくのですから、普段のまま、パジャマ姿で楽に過ごして良いのです。
終末期の3つの軌道傾向
代表的な疾患でもある「がん」、「心・肺疾患」、「認知症・老衰」の終末期の3つの軌道の傾向は表1のようになります。
- がん
比較的長い間機能は保たれ最後の2カ月くらいで急速に機能が低下する経過 - 心・肺疾患末期
急性増悪を繰り返しながら徐々に機能低下し、最後は比較的急な経過 - 認知症・老衰
機能が低下した状態が長く続き、ゆっくりと徐々に更に機能が低下していく経過それぞれに特徴ある経過となっています。
亡くなる場所の推移
一方で、6割程度の方が自宅で亡くなりたいと希望している反面、日本における死亡場所の年次推移は表2のように1975年頃を境に自宅が減り、病院での死亡が圧倒的に多くなってきています。
在宅医療と病院・介護施設の連携
最後に在宅医療の連携のイメージ図にしてみました。(表3)
在宅主治医が時には病院、時には訪問看護ステーションやケアマネージャー、薬局とも連携して安心で安全な環境を提供し、最終的に看取っていく場合は、どのように自宅で看取っていくかということが課題になってきます。ちなみに、当法人は外来・病棟・在宅の3つの機能を持った医療機関です。
この際、医師一人で24時間365日をこなすのは無理なので、医師同士の連携が必要になってきます。まだ、マンパワーが不足しているのが実態ですが、このイメージを目指して日々努力しております。
ただ、今は自分には関係ないと思われてる方、今現在家族のことで悩んでいる方、医療介護関係者の方々にとって、ひとつの情報発信施設として草花クリニックの医療活動を知っていただければ幸いです。
何かありましたら、お気軽に草花クリニックまでお問い合わせください。
今後とも、地域医療のために努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。