かかると厄介!感染性胃腸炎
ブログ2018.03.29
こんにちは。医師の鈴木です。
今回は一年中いつでも起こりうる感染性胃腸炎についてブログを書いてみました。
感染性胃腸炎とは?
口から摂取した細菌、ウイルス、原虫などの微生物が原因で、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状をきたす疾患群を指します。
細菌性腸炎は、菌が体内に侵入してから症状が出るタイプ(感染型)と、菌が体外で産生した毒素が原因で発症するタイプ(毒素型)に分けられます。
感染性胃腸炎の症状
病原体により異なりますが、一般的な症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。
感染型の腸炎は、感染後1~4日程度で発症し、血便を伴うことがあります。毒素型の腸炎は、感染後数時間と発症が早く、発熱や下痢は少なく、頭痛、複視(ものが2重に見える)、眼瞼下垂(まぶたが下がる)、嚥下障害(飲み込みにくい)、ろれつが回らないなどの神経症状を呈することがあります(特にボツリヌス菌感染)。一方で、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状で済む場合もあります。
感染性胃腸炎の原因
感染症胃腸炎の代表的な原因として、ウィルス性腸炎ではノロウィルス(生ガキ)、ロタウィルス、感染型細菌性腸炎では、サルモネラ菌(生卵、鶏肉、豚肉)、腸炎ビブリオ(生の海産魚介類)、カンピロバクター(肉類)、O-157などの腸管出血性病原性大腸菌(生肉、生野菜)、毒素型細菌性腸炎では黄色ブドウ球菌(調理人の化膿性病変)、ウェルシュ菌(温め直した肉やシチュー)、ボツリヌス菌(はちみつ、真空パックのからし蓮根など)があります。
胃腸炎はうつるの?
ウィルス性胃腸炎も細菌性胃腸炎も、人から人にうつります。感染経路は主に2つ、飛沫感染と接触感染です。
飛沫感染は感染者の吐物や便が飛び散って、口から侵入してしまう経路、接触感染は、感染者の吐物や便に触れた手で口元を触ったり、ものを食べたりした際に感染する経路です。
胃腸炎は子供も大人もなる病気
以上のような経路で子供も大人も感染します。特に人が集まる幼稚園・保育園や高齢者施設で集団感染したというニュースを聞いたことがありますよね。
ここで注意しなければならないのは、免疫力の低い子供やお年寄りでは重症化しやすいという点です。
嘔吐や下痢で体内の水分が大量に奪われ、脱水症状から命にかかわることもあり、水分補給が何より大切です。
スポーツドリンクや「OS-1」などの経口補水液をこまめに摂取してください。“下痢便が出るのが嫌だから”と水分を控えてしまう方がいますが、脱水を悪化させ大変危険ですので絶対にやめましょう。
胃腸炎の予防は?
- 食品の十分な加熱
一般的にほとんどのウイルスや細菌は熱に弱いため、食品は中心部までよく加熱しましょう。 - 手洗い・うがいの励行
特にトイレの後、便や吐物を処理した後、食事の前などは、流水でよく手を洗いましょう。
また、タオルは共用せずに、使い捨てのペーパータオルで手を拭くのがお勧めです。
夏場は細菌による食中毒、冬はノロウィルスやロタウィウルスによる胃腸炎と、感染性胃腸炎は1年中いつでも起こりうる病気です。当院では消化器診療に力を入れていますので、「もしかしたら?」と感じたら、お気軽に草花クリニックにご相談ください。