鼻から胃カメラで、胃がん・食道がんを早期発見!
ブログ2018.05.30
みなさんこんにちは。内視鏡検査担当 医師の鈴木です。
今回は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)のおはなしです。まずは胃がん、食道がんについて解説します。
胃がん、食道がんは早期なら完治が望める
食道、胃、十二指腸は上部消化管とよばれ、食事をとるために重要な働きをしています。
胃がんは男性の場合、肺がんに次いで死亡原因の2位、女性では大腸がん・肺がんに次いで3位となっており、罹患率(かかる人の割合)は男性で1位、女性で乳癌に次いで2位を維持しています。
ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)が胃がんの原因の一つであることが分かり、ピロリ菌を除菌することが胃がんの予防になると考えられています。
食道がんは胃がんより頻度は低いものの、喫煙や飲酒と密接に関係し、40歳代後半以降の男性で特に多い疾患です。特徴として、早期では症状が出にくく、進行が速いため、症状がなくても喫煙・飲酒習慣がある方なら、一度は内視鏡検査を受けることをお勧めします。
胃がん、食道がんは原因が判明しているため、予防が大切です。発病しても、早期発見できれば完治が望めるのです。
胃がん、食道がんは、どんな症状?
胃がん、食道がんのいずれも、症状が出にくいがんですが、以下のような症状がでることがありますので、それぞれの症状についてご説明します。
胃がんでみられる症状
腹痛(みぞおちやへその上の痛み)、食欲不振、悪心・嘔吐、体重減少、倦怠感、吐血・下血、胸やけなど
食道がんでみられる症状
食事のつかえ感、飲み込みにくさ、しみる感じ、胸やけ、声のかすれなど
胃カメラってどんな検査?
従来の胃カメラは、口からスコープを挿入する経口内視鏡が主流で、検査中に苦痛を伴うことから嫌厭されがちでしたが、最近では、この欠点を克服し、多くの人に検査を受けてもらえるよう、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」が開発されました。
経鼻内視鏡での内視鏡検査は、鉛筆より細い直径5mm程度のスコープを、麻酔を行った一方の鼻から挿入し、咽頭・喉頭→食道→胃→十二指腸と順番に観察します。
当クリニックでは、最先端の経鼻内視鏡を導入し、内視鏡専門医によるハイレベルな技術により、これまでよりも、さらに楽に検査を受けていただけます。
検査を受けたほとんどの方から、「口からの胃カメラに比べて楽だった」とご感想をいただいており、実のところ、私も口からの胃カメラで苦しい思いをした経験があったため、年1回の胃カメラの検査は、経鼻内視鏡で受けています。
経鼻内視鏡の検査ってどんな感じなの?
鼻からの経鼻内視鏡による検査には、従来の内視鏡検査と比べ、とても楽に検査を受けることができます。さまざまなメリットがありますので、下記にまとめて説明いたします。
苦しくない
- 挿入時につらくない、「おえっ」となりにくい
- 吐き気や息苦しさがない
- 心拍数や血圧の変動が少ない
検査中に会話ができる
- 口からの内視鏡ではできない会話ができます
- モニター画面を見ながら、不明点や疑問点をその場で確認できます
鼻やのどの病変も発見できる
- 口からの内視鏡では発見しにくい鼻腔、咽頭・喉頭の病変を発見できます
- 簡単な嚥下機能検査(飲み込みの評価)もできます
すぐに日常生活に戻れる
- 車の運転、仕事、家事などは検査後すぐにできます
- 60分後には飲食できます(生検や培養検査なしの場合)
デメリットとしては、鼻出血が起こる場合があること、人によっては鼻の痛みを感じることなどです。また、鼻の狭い方には検査時に身体のご負担を抑えるために、口からのカメラをお勧めする場合もあります。
追加できる検査・処置は?
検査中に異常が発見されれば、引き続いて病理組織検査、ピロリ菌検査(培養法・組織鏡顕法等)を行います。
また、魚骨・寄生虫などの小さな異物除去、嚥下機能検査もあわせて実施できます。ただし、ポリープ切除や止血などの処置は細いカメラなので行うことができないため、一般的な内視鏡での処置とさせていただいております。
草花クリニックの内視鏡検査の特徴
草花クリニックの内視鏡検査では、受診される方の苦痛が伴わないよう、しっかりときめ細かいケアで内視鏡検査を行っております。
消化器内視鏡専門医が検査を担当
当クリニックでは、熟練した内視鏡専門医が年間約400例以上の胃カメラを行っています。
苦痛のない検査へのケア
受診される方へのケアとして、当クリニックでは「細い経鼻内視鏡」を用いております。通常、検査前に消化管の動きを抑えるための筋肉注射を行うことが一般的なのですが、当クリニックでは「胃内に散布する薬剤を代用」しており、痛みを伴う注射や点滴などは一切行っておりません。
全員に食道がんのリスク評価
発見が難しく、見落としやすいのが食道がんの特徴でもあります。より多くの方の食道がんを早期発見できるよう、内視鏡検査を受診いただいた患者さま全員に、罹患しやすさを点数化して、点数が高い方には、より精密な検査を行うよう努めています。
最新技術を備えた内視鏡を使用
NBI(Narrow band imaging:血管を強調し腫瘍を発見しやすくする機能)を備えた最新の経鼻内視鏡を使用しており、最新技術と医師の熱意で、小さな異常も見落とさないようにしています。
検査結果をわかりやすく丁寧に説明
当クリニックの大腸検査も同様ですが、検査中に撮影した内視鏡画像を一緒にご覧いただきながら、詳しくご説明いたします。皆さまにわかりやすいよう、ハイライト写真とイラストも合せてお渡ししますので、今後の参考にしていただけると思います。
ピロリ菌の除菌も
胃潰瘍や胃がんの原因になるヘリコバクター・ピロリ(通称ピロリ菌)の除菌治療を日本ヘリコバクター学会の認定医が行っています。
通常の1次・2次除菌(保険診療)はもちろん、3次除菌やペニシリンアレルギーの方への除菌(自費診療)もできます。
※当クリニックでは学会主導の多施設共同研究に参加しています。
検査費用
検査項目 | 1割負担 | 3割負担 |
胃内視鏡検査 | 1260円 | 3780円 |
+病理組織検査(1臓器) | +1170円 | +3510円 |
+病理組織検査(2臓器) | +2340円 | +7020円 |
+ピロリ菌検査(培養) | + 180円 | + 540円 |
+ピロリ菌検査(尿素呼気試験) | + 500円 | +1500円 |
※このほか診察料(初診・再診)や血液検査料、お薬代などがかかります。 ※食道が1臓器、胃・十二指腸が1臓器です。 ※ご不明な点や詳細につきましてはお気軽にお問い合わせください。 |
内視鏡による実際の症例
当クリニックの内視鏡による実際のさまざまな症例をご案内いたします。
咽頭異物
食後の咽頭痛で来院。中咽頭(のどの奥)に刺さった魚骨を生検鉗子で抜去しました。
胃アニサキス症
刺身食後の胃痛で胃カメラを実施。白いひものような物体がアニサキスという寄生虫の虫体で、噛みついている胃粘膜が赤く腫れています。生検鉗子で除去しました。
逆流性食道炎
食道と胃の接合部を食道側から観察した写真です。胃酸の逆流により、食道粘膜がただれています。胸やけ、心窩部痛、呑酸等の症状をきたします。
胃ポリープ
胃に生じた過形成性ポリープ(良性)です。ピロリ菌感染と密接な関係があり、ピロリ菌の除菌により消退するものもあります。良性ポリープですが、除菌治療で小さくならず、急速に大きくなったり、出血を生じたりした場合には内視鏡的切除を考慮します。
胃潰瘍
心窩部痛精査で行った胃カメラの写真です。胃の中央(胃角部)に大きな潰瘍を認めます。最近では、胃潰瘍を手術することはほとんどなくなり、胃酸分泌抑制薬等の内服で治療します。
声帯ポリープ
経鼻内視鏡では、嘔吐反射を生じにくく、喉頭部をじっくりと観察できるため、消化管以外の病変も発見しやすくなっています。
食道がん
中部食道に粘膜が発赤し不整になっている領域を認めます。通常光観察(写真左)ではわかりにくく見落とされがちですが、NBIというモードに切り替えると、病変が茶色となり、はっきりしました(写真右)。早期の食道がんです。リンパ節や他臓器への転移も見られず、内視鏡的切除で完治しました。
楽に胃カメラ検査受けてみませんか?
当クリニックでは、このように最先端の内視鏡機能を駆使して、受診される方が痛くない、苦しくない、身体に負担が少ないケアを行い、あらゆる病変の早期発見に力を入れています。
胃がんや食道がんの心配のある方は、どうぞお気軽に草花クリニックまでお問い合わせください。