感染力が強い「麻疹」にご注意
ブログ2018.06.04
こんにちは。院長の下村智です。
現在、沖縄を推定発生地とする麻疹患者が報告されていますので、今回のブログは麻疹(はしか)について触れてみたいと思います。
麻疹(はしか)は、2008年1月から第5類感染症全数把握疾患に指定されています。
2007年に10代の若者を中心にした流行したのを契機に2008年4月から2回目の予防接種の機会を中学1年生(第3期)と高校3年生相当年齢(第4期)を摂取することで10代への対応が強化されました。
使用するするワクチンは、風疹(ふうしん)への対応も考えて原則として麻疹風疹ワクチンの使用が推奨されています。
多種の遺伝子系のウイルスが海外から輸入されて、日本の各都市で患者の発症を認められており、2013年12月からフィリピンでの流行を受けて遺伝子系B3の検出数が増えていました。また2014年に報告された麻疹患者はワクチン未接種者が多かったため、日本の麻疹対策は発症時対策と感受性者対策の両方について強化が必要となっていました。
麻疹の感染経路は、飛沫感染、接触感染、空気感染など多岐にわたり、予防や対策を困難にしているのも事実です。エアゾル化した麻疹ウイルスは1時間以上感染性を保ちつつ浮遊し、吸引することで感染が成立するほど、感染力が強いウイルスです。
麻疹の症状
1)カタル期
麻疹ウイルスに暴露されて、8-12日の潜伏期を経て上気道炎、眼脂(めやに)を伴う結膜炎とともに発症。
発熱は38度以上が2日以上続き全身倦怠感も強く熱が出て2-3日後に口腔内粘膜の白い斑(コブリック班)が認められます。
この斑は1㎜台くらいで、周りを赤い色の粘膜で囲まれています。
2)発疹期
麻疹に特徴的な発疹は、一般的には耳介後部から始まり、顔、頸部、体幹四肢に広がります。
最初は平坦な赤い平べったい変化ですが、間もなく隆起して発疹同士がくっついて大きな湿疹になり、時に出血をともなうときもあります。発熱はカタル期から1度くらい下がって再び高熱になるという2峰性発熱の経過をたどることが多いです。
3)回復期
回復期に入ると発熱は解熱し、発赤は暗赤色に変化して色素沈着は阿しばらく残りますが次第に退色します。
麻疹の合併症
肺炎、脳炎、中耳炎、などがあります。先進国でも1000例に1人の死亡例が報告されていますので、特に肺炎、脳炎には注意が必要です。合併症の疑いがあったら、念のため受診をおすすめします。
麻疹の診断
麻疹の診断にはウイルスの分離、ウイルスの遺伝子検査、血清学的検査を行い診断します。
麻疹を疑った場合は、なるべく早く血液、咽頭ぬぐい液、尿検体を採取して検査することが大切です。
麻疹の治療について
麻疹に対する特異的なものはなく、予防として実施するワクチン接種が最も重要です。
麻疹ウイルス排除のためには確実なのは2回以上の麻疹含有ワクチンの接種です。また麻疹ウイルス暴露後発症予防として暴露72時間以内であれば緊急の麻疹含有ワクチンの接種、72時間以降で6日以内ならγグロブリンの投与での治療が有効ですので、麻疹の疑いがあった場合は、早めに当クリニックへお問い合わせください。
麻疹の感染が多くなってくる季節でもありますので、お身体の具合がちょっとでも、おかしいかなぁと不安に思ったら、お気軽に当クリニックをご受診ください。