がんの免疫治療に期待
ブログ2018.12.11
皆さんこんにちは。理事の下村薫です。 今日はがんの免疫療法についてのお話です。
今年ノーベル医学・生理学賞を京都大学特別教授の本庶佑先生が受賞されました。日本人としてとても喜ばしいことですね。
本庶先生は人体に元々備わっている免疫を利用し、新しいがん治療を開発されました。この免疫療法は、これまでの外科手術、抗がん剤、放射線に次いで、がん治療の「第4の柱」と言われていますので、少しご紹介したいと思います。
免疫の働き
免疫には自己と非自己を区別する働きがあり、細菌やウイルスといった微生物に感染すると、それを「非自己」と認識して体外へ除去するように免疫が働きます。
逆に、免疫がうまく働かなくなると、病原体を除去できずに重い感染症を繰り返したりします。また時には自分の細胞、つまり「自己」を「非自己」と認識して攻撃し、自己免疫疾患になってしまうことがあります。
がん細胞と免疫
がんは正常細胞の遺伝子に何らかの傷がつき、その細胞が増殖したときに発生します。
がんが発生したとき、正常細胞はまずがん細胞を攻撃して排除しようとします。
メカニズムとしては、正常細胞はPD-1、がん細胞はPD-L1という分子をそれぞれ細胞表面に出します。PD-1とPD-L1が結合すると、正常細胞によるがん細胞への攻撃にブレーキがかかり、結果的にがん細胞が増殖します。
ニボルマブ(商品名オプシーボ)はPD-1に結合することでPD-L1が結合できなくなり、ブレーキを弱めます。
そのため正常細胞はがん細胞を攻撃できるようになるのです。現在ニボルマブ(商品名オプシーボ)は、皮膚のがんである悪性黒色腫に効果を発揮しています。PD-1は本庶先生により発見されました。
今回一緒に受賞される米テキサス大学教授のジェームズ・アリソン先生はPD-1と似た別の分子「CTLA-4」を調べました。こちらもイピリムマブ(商品名ヤーボイ)と呼ばれ商品化されており、共に悪性黒色腫に効果が期待できるとされています。
現在、どんな人にこの薬が効果的か、また身体的副作用や経済的副作用、他の薬との併用療法について研究が進められています。今後、ますます医学が進歩して、新しい治療が開発されるでしょう。
がんは早期発見!早期治療が大切です!
私たち草花クリニックも、日々の診療の中で少しでも病気で苦しむ方々のお力になれればと考え、最新医療について勉強を重ねています。
また、健康診断をはじめ各種検査を行いがんの早期発見に努めています。検査でがんが見つかった場合は、速やかに信頼のおける医療機関にご紹介しております。お身体にご不安がございましたら、遠慮なくおたずねください。